※平行ニコルの顕微鏡写真:全て偏光の振動方向は画像の左右方向(⇔)
ジルコン zircon ZrSiO4 [戻る]
正方晶系 一軸性(+) ω=1.923〜1.960 ε=1.968〜2.015 ε-ω=0.042〜0.065
少量のU・ThがZrを置換して含まれ,その放射性元素のα壊変や自発核分裂の影響で原子配列が乱れている場合がある。この現象をメタミクト化という。メタミクト化はジルコンに限らず,U・Thのケイ酸塩やニオブ・タンタル複酸化物に顕著に見られる(ただし,リン酸塩などはメタミクト化が起こりにくい)。メタミクト化が進むと非晶質になっていくのでやや屈折率や干渉色が低くなり,かつ,濁った褐〜緑色を帯びる。
色・多色性:無色が多い。なお,メタミクト化が進んだものは濁った褐色・緑色を帯びるが多色性は認められない。
形態:角が取れたような4角柱状,紡錘形粒状など。自形〜半自形のことが多い。
伸長:c軸方向に伸びたものは伸長は正だが,干渉色が高いのでほとんどわからない。
消光角:柱状のものは直消光。
へき開:認められない。
双晶:認められない。
累帯構造:ZrのかわりにU・Th・Hf,時に希土類・SiのかわりにPを含むが(ゼノタイム成分の固溶),光学的には累帯構造は認められない。
産状 各種の岩石に副成分鉱物としてわずかずつ見られる。 火成岩では特にケイ長質の深成岩に多い。アルカリ岩である閃長岩にも多いが,著しくNa・Caに富むパーアルカリックな場合,Zrはユーディアライトやカタプレイアイトなどになるため,ジルコンは出現しなくなる。 変成岩では花こう岩起源の片麻岩によく含まれる。 ※ジルコンは大抵,多少のU・Thを含む放射性鉱物なので,これに接する部分の黒雲母や角閃石類はα線で濃色になっている(放射性ハロ)。 |
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![]() 花こう岩中のジルコン Zr:ジルコン,Bt:黒雲母,Af:アルカリ長石,Pl:斜長石,Qz:石英 花こう岩中の副成分鉱物としてジルコンはリン灰石などとともに,小粒状で普通に見られ,黒雲母と接する場合,その黒雲母は放射性ハロで黒ずんでいる。クロスニコルでは干渉色が3〜4次に達する。 ---------------------------------------------------- 一見似たリン灰石とは,下画像(花こう岩)のように,リン灰石が黒雲母に対し放射性ハロを示さないことと干渉色が1次の灰色程度なので,区別容易。 Zr:ジルコン,Ap:リン灰石,Bt:黒雲母,Af:アルカリ長石,Pl:斜長石,Qz:石英 ![]() |